それがたとえ夢だとしても

これ以上好きにならないなんて 言わないよ絶対

切なる思いの行く先は

暗殺教室~卒業編~』の感想です。

ネタバレ含むので見ていない方はご覧にならないことをおすすめします。

 

 

山田さん。『暗殺教室~卒業編~』の公開、そして大ヒットおめでとうございます。昨年は応援している人の後輩、という見方で鑑賞していたこの作品が、今年は主演を自担として応援する身として鑑賞できていることに驚くとともに幸せな気持ちでいっぱいです。

 

記録として。忘れてしまう前に、新鮮な気持ちをここに記させてください。

 

オープニングで主要メンバーの紹介が終わった後、生徒たちが殺せんせーと面談を進めていくシーン。渚くんは教室でひとりぽつんと座っている。「ねぇ、殺せんせー?」男子にしては高い声。優しすぎる声。弱音を吐きそうな声。渚くんってこんなに甘い声だったっけ?と思うくらい温もりを含んだ…でも、揺るがない声だった。色々な先入観やフィルターがかかっている点はあると思うけれど、開始早々何か秘めたる力を垣間見た気がして少しどきっとした。

殺せんせーが言った「(暗殺者としての才能を)誰のために使うか(が大切)」という言葉の意味を、私は4回鑑賞してやっと気づくこと(というよりは気にすること)ができたような気がします。

 

次に。文化祭の片づけ途中に茅野が殺せんせー襲撃するところを目撃し、布に妨害されてしまってできなかったけれど突入しようとした。怒りに燃える茅野に語りかけ、どうにか彼女を助けようとした。中村莉桜ちゃんに「渚…あれって茅野?」と問いかけられたのに何も発しない。茅野が言い残していった言葉で殺せんせーがクラスの皆から色々言われている時もまったく口を開かない。茅野が殺せんせーを襲ってから触手が抜かれるまで、渚は茅野にしか言葉を発してないし想ってなかった。一途で素直な気持ちがそこにあるのがここだけでも分かる。特に、茅野の触手を抜くのにはどうすればいいか考えを巡らせていた時が忘れられない。

 

「ナイフ、狙撃…どれも茅野を傷つけるものばかりだ。なにか、何かないのか?」その口調、話すスピード、声。こちらまで息が詰まるほど切実な想いが伝わってくる。そこでたどり着いた選択肢…もうなんて言えばいいか分からないけれど、彼女を助けたいという純粋な想いだけであんなに素敵な一連のシーンになるのか…。正直キスシーンは楽しみにしていたし、なるほどこの流れでそうなるのかと納得していた部分もあった。賛否両論はあるだろうけれど、私はこのシーンがとても好きです。

屋根から落ちたあとの「言わせないよ」から紡がれる渚の言葉、茅野しか映していないその瞳、もっと前の屋根にいる茅野の背後から出てきたとき、若干伏せ光を映していないような目。背後から現れた渚くんはもう渚じゃなくて山田涼介だった。きっとそれは渚が内に秘めている色々な強さが表に出たからなのかなぁ。もう一度言わせて。私はこのシーンが大好きです。

 

茅野の回想シーン。ビルの屋上に腰掛ける茅野が美しい。憎しみ以外の感情を忘れたように淡々と研究資料を読み上げ、触手に手を出した彼女が痛々しく儚くて…やっぱり美しい。 殺せんせーを攻撃している時も思った。儚いものが個人的に好きというのも影響してだと思うけれど、幼さあどけなさに狂気が加わるとこんなに怖いものなのか、目が離せなくなるのか…と。触手を武器に宙を舞う茅野が、狂気に満ちた茅野が美しかった。舞香ちゃんだから表現できたことなんだろうなぁ。茅野が舞香ちゃんでよかった。

 

 渚とカルマの乱闘シーン。いきなり来たから驚いたけれど、あのシーンの組み合わせ方は大正解だったんだと思う。漫画を読んでいないからわかりませんが、前作でも羽住監督は原作と同じようなコマ割りを多くやっていたそうだからこういう話の展開の仕方だったのかな。強すぎる風と真っ二つに分かれて並ぶクラスメイトたち。その中からカルマが出てきて、渚が出てくる。カルマは堂々と「殺せんせーの暗殺を続ける」派の前列から圧倒的なカリスマ性を持って出てくるのに対し、渚はクラスメイトが並んだ2列目から女子の間をぬって出てきたのが印象深い。そこからどうしてこんな状況になったのかと過去の回想が始まる。

 

確実に渚が成長していた。渚らしさはありつつも確実になにかが変わっていた。渚くんはずっと何も声を発さない。カルマは運動神経(と言うのが正解なのかどうかわからないけれど)の面だけでなく言葉でも煽って戦っているのに、最後の最後まで息の音だけしか聞こえない。どれだけ受け止められても諦めない…次の一手を探しては出すの繰り返し。あの空間で渚だけ「動」。あんなに風が吹いているのに、カルマが技を繰り出しているのに動いてるのは渚だけのように見えてしまった。でも、あんなにかっこいいのに…かっこよかったのに、話す口調も目も言葉もすべてあの女子っぽい渚くんなんだよね。もう~渚くんせっかくかっこよかったんだからそこも…なんて思わなかったわけではないんだけども(笑)渚とカルマの思いのぶつかり合いっていうのは画的にもストーリー的にもとても素敵でした。

 

この間にある皆が殺せんせーのために薬を作るシーン。全員がビーカーやフラスコ片手に奮闘するところで、渚と茅野の「もうちょっと」「もうちょっとかな~?」っていうハートがつきそうな(というかついてる)会話が見るたびきゅんきゅんしました♡(笑)

 

さて、感想もここまで来ました。こんなこと言ったら怒られてしまうかもしれないし、呆れられてしまうかもしれない。でもそれを承知でいいます。この次に述べる一瞬のシーンが、今回の暗殺教室~卒業編~で一番印象に残っています。前回の暗殺教室で鷹岡との対決シーンの瞳に目を奪われ衝撃を受けた時のように、映画が終わった後一番に思い出したのがこのシーンだった。一番誰かと共有したくてたまらなかった。

 

殺せんせーを守ろうと立ちはだかった茅野が触手によって負傷するあのシーン。どうしても、どうしても…あのときの渚が忘れられない。一瞬と間を置かず出た、悲鳴にも近いような声。あんな声聞いたことない。ただただ感情の赴くままに出た「茅野!」と叫ぶ声。誰よりも先に窓を飛び越え駆け出して立ち尽くす渚が、渚が…。

 

決して声を荒げることのなかった彼が初めて大声で叫んだ。悲鳴だった。一作目でも今作でもいたる場面で守ってきた、どんな手段でもいいから傷つけずに 救いたかった。彼女に対する思いなど一切口に出してはないけれど、そんな思いの結晶のような叫び声。役を演じる山田さんが好きだから。役者として活躍している彼が好きだから。私にしては珍しいくらい出演作品は可能なものはほとんど見てるけれど…そのどれにもない彼がそこいて。たった一瞬のそのシーンのためだけに何度も見たいと思うくらい個人的には衝撃的でした。

 

卒業式が終わって、茅野が職員室に来るシーン。何故あのシーンを入れたのか、彼女は何であんなに嬉しそうに笑ったのか。何回観ても分からなかったんだけれど、今やっと分かりました。回想では出てたけれど、誰も殺せんせーのネクタイが雪村先生からの贈り物だということは知らない。だからカタログに書かれた大きな丸を見てあんなに嬉しそうに「…お姉ちゃん」って微笑んだんだ。とてもすっきりして、切なさもありながら微笑ましいな…と思いました。

 

 あとは、本当にラストシーンのあの俯き加減から視線を上げた時の瞳。あれこそ一作目で衝撃を受けた、渚くんの目でした。あの衝撃と感動と懐かしさがこみあげてきてうるっとしました(とか言いながら初日はだいたい号泣してた)

 

 最後に。

ここでは二宮さん演じる死神については一切綴っていません。言いたいことはたくさんあるけれどそれはまた別の機会に書かせてください。

山田さん。初主演映画の完結、改めておめでとうございます。作品を見るだけでなく、プロモーションでテレビに雑誌に引っ張りだこだったことが、それを一緒に追うことができたことが一ファンとして幸せです。役者・山田涼介として一段と強く逞しく、そして凛々しくなった山田さんの今後の活躍を心待ちにしています。

 

大好きだよ、山田さん。

笑顔を、感動をありがとう。

また近いうちにスクリーンであなたに出会えますように。